主に義務教育段階の教師を対象とし、彼(女)らのライフコースをアンケート調査及びインタビュー調査によって、そこにおける専門的力量の形成過程を解明しようとする本研究は、過去3回の調査を踏まえて、今回4回目の継続調査を実施した。 3年計画の第1年目に当たる本(H11)年度は、8月にアンケート調査を実施し、その回収・集計が主たる研究作業となった。調査は、過去3回の対象者に加えて、新たに1997-99(H9-11)年3月に静岡大学教育学部を卒業し、静岡県内の教師となった者(これを本試査では第10コーホートと呼ぶ)を対象者に加え、総計1132名から回答を得ることが出来た。回収率は46.8%であった。 集計結果は、現在、分析途上にあるが、新たに対象者に加えた第10コーホートは教員採用者数が激減し採用枠が厳しくなった時期に教職に就いたコーホートであり、属性や意識傾向の点でそのコーホートとしての特徴がうかがわれる結果となっている。例えば、その出身階層の点で年輩コーホートが教員や農林業の家庭の子弟であったのに対して、若手コーホートではホワイトカラー家庭の子弟が多くなってきているという特徴を引き続き示している。またそれと同時に、教職選択において親や身内の影響ではなく、自らの被教育体験において出会った教師の影響が更にいちだんと強いという特徴も引き続き示している。しかし、教職意識の点では、新しい世代としての特徴を示すようにもなってきている。引き続き分析作業を進めていきたい。 なお、研究の2年目に当たる2000(H12)年度は、第10コーホートから数名を抽出し、そのライフコースに対してインタビユーを実施し、質的な分析を加えていくことを予定している。
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