学区教育委員会のアカウンタビリティ・システムについて、3つの大都市学区のうち、本年度はシカゴ学区を中心にして、日本の学校評議員制度導入の動きとも比較しながら、以下のことを明らかにした。 (1)シカゴ学区では、学校・校区レベルの自己評価体制を、特に、学校改善計画の編成・承認過程および校長に対する職務評定活動を中心に確立している。学校改善計画は、それぞれの学校の基本理念(ミッション)にそって現在の到達段階を明らかにするとともに、年次教育目標を設定し、その達成方策を示した教育計画書になっている。例えば、レイ小学校では、(1)英語と社会科の学力向上のため、幼稚園教育を充実すべく教諭を採用する;(2)教育機器の充実と積極的活用;(3)カウンセリング職員の増員等を教育目標に掲げ、約20万ドルの学校予算のほとんどをこれらの教職員の雇用と設備の充実に充てている。 また、各学校委員会は、毎年5月15日までに学区教育委員会の作成した統一の校長評価票をもとに、校長の職務評定を行っている。この校長評価票は、(1)質の高い教授プログラムの確立と実践;(2)学校づくりのリーダーシップ;(3)教師・父母住民の参加;(4)教職員の研究と協力共同といった柱からなっている。 (2)シカゴ学区レベルのアカウンタビリティ・システムは、主に、学校評定基準すなわち、一斉標準テスト成績、日平均出席率、高校の修了率などからなり、達成不十分な学校に対する指導体制も確立していることを明らかにした。なかでも、1997年6月、学区教育委員会は、指導・観察期間においてもなおテスト成績の向上がみられず、日平均出席率も低く、中退率が50%を越えているなどと評定された高校7校を再建校に指定し、千人余りの校長をはじめ全教職員を「解雇(一部再雇用)」した政策について詳しく分析した。
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