1.2001年2月28日より3月29日まで約一ヶ月間にわたり、シカゴ学区およびニューヨーク市学区の学校自己評価体制について、いくつかの公立学校を抽出し、校長、教職員、学校委員(父母住民)、児童生徒、教育委員会職員、教育関係団体職員など、約60人に対し面接調査を実施した。主な面接調査項目は、校長選考・年次職務評定活動、カリキュラムなど学校改善計画の編成および学校委員会による承認過程、学校予算の編成および学校委員会による承認過程、学区教育委員会の学校(特に困難を抱える学校)に対する支援体制などである。 2.面接調査を通して、父母住民、教職員そして生徒が「私たちの校長」を選考したり、学校改善計画を承認していく営みは、教育統治主体としての権利行使という側面と同時に、教育共同体構成員として責務を果たす活動として自覚されていることが明らかとなった。どんなに貧困地域であっても、豊かなコミュニケーションによる信頼と協力と自治による学校自己評価活動のなかで、子どもも大人も学びあい育ちあえる快適な学校公共空間を創ることは可能だというのが、シカゴやニューヨークの人々の信念であり、実感でもあることを印象づけられた。 3.また、シカゴ学区教育委員会のアカウンタビリティ部局やニューヨーク市学区教育委員会のアセスメント・アカウンタビリティ部局が、自己評価において芳しくない学校に対して、人的物的財政的に特別な援助体制を充実させてきていることも明らかとなった。
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