研究概要 |
1.戦後大学改革に関する基本資料の収集・整理を行った。国立公文書館所蔵文部省公開文書中,『文部省委員関係』,『文部省行政監察委員会関係』,『学校管理及監督総規』,『教育通則』,『旧制医科大学開設認可』,『認定指定総規』など学校監督行政に関わる通牒・規定類の収集を行った。これらの資料の収集により,大学内部の管理運営だけでなく,広く文部省等との関係と他の学校管理との比較において大学の管理運営を把握できるようになった。 2.戦後高等教育に関する管理運営上の法律・省令・政令・通達関係の目録作成を行い,人事・資格・教育課程基準・組織など包括的に大学管理法制を把握できるようなデータ・ベースを構築中である。 3.以上の作業を進めながら,教育刷新委員会・中央教育審議会における大学管理制度をめぐる政策の展開と,大学の管理法試案要綱などの分析を進めた。特に,教育刷新委員会第10特別委員会は,占領軍民間教育局教育課高等教育班イールズの示唆を受けて,大学の地方移譲を含めた全体的な大学管理法を検討しており,管理法が成立していたら,アメリカ型の管理制度に移行していた。しかし,学問の自由をめぐる対立によって,反対を受け成立しなかった。特に,その時問題となったのは,教員の身分保障が大学の自治においてカバーされる日本の法制の特徴であった。イールズはこの点に関し,アメリカの教授の自由保障法制との差異を指摘している。これらの成果は,平成14年度に学会報告を行うなどしてまとめる予定である。
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