近年、わが国の学校教育現場では、校内暴力、いじめ、登校拒否等の問題行動が顕著にみられる。こうした問題行動に取り組み、解決していくことができる教師の実践的な対処行動が求められているが、この教師の対処行動のあり方を検討するなかで、近年の少子化現象に伴う教員採用数の減少傾向の中で、教員構成の高齢化現象が各県で進行している現状がみられる。ところで、この教員構成の高齢化現象が、教師集団の子どもの問題行動への取り組みに多大の影響を与えているのではないかという問題意識を持つに至った。本研究では、子どもの問題行動に対する教師の対処行動の性格やあり方を規定していると考えられる、教師と子どもの関係に教員構成の高齢化によってどのような問題がもたらされているのか、また、今後ももたらされてくるのかという問題を検討している。 平成11年度には、松山市の小・中学校の学校長にインタビュー調査を実施し、愛媛県における教員構成の現状やその問題点に検討を加えた。特に、愛媛県では40歳前後の中堅教員の比率が高く、20歳代教員の比率が極めて低いといった構成の不均衡の現状の中で、子ども理解やその対処行動に各種の特徴があらわれているという知見を得た。これを実証化するために、関西・中国・四国・九州の8県を調査対象として、1つは、校長(1500名)調査、2つは、生徒指導主事(1500名)調査を実施した。現在、集計・分析作業を進めている。平成12年度には、学会発表を予定している。
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