近年、わが国の教育現場では、校内暴力、いじめ、登校拒否等の問題行動が顕著にみられる。こうした問題行動に取り組み、解決していくことができる教師の実践的な対処行動が求められている。この対処行動の在り方を検討する中で、近年の少子化現象に伴う教員採用数の減少傾向の中で、教員の年齢構成の高齢化現象が、教師集団の子どもの問題行動への取り組みをはじめ、教師の教育活動全般に対して多大の影響を与えていることに着目し、高齢化の影響を明らかにしょうとした。とくに本研究では、子どもの問題行動に対する教師の対処行動の性格や在り方を規定していると考えられる、教師からの子どもへの働きかけに、教員の年齢構成の高齢化がとのような影響を及ぼしているか、また、今後どのような問題がもたらされてくるのかを検討した。 平成11年度には、中学校での教育現場での教師の生徒の問題行動への対処の行動についての聞き取り調査を行い、教師の問題行動への対処に関する質問紙による調査を実施した。それを踏まえて、12年度にかけて、公立中学校校長に対する郵送調査、及び小・中学校の教務主任に対する郵送調査を実施し、高齢化の影響を明らかにしていった。12年度から13年度にかけては、さらに教員集団内における年功序列的な行動基準に焦点を当てながら、公立高校校長調査と小学校校長調査を行った。主な調査結果は、関西学院大学教職教育研究センター編『教職教育研究』(第6号)及び(第7号)に報告している。調査から得られた結果を少し示すと、高齢化の進展は県により少し異なるが、大都市を抱える大規模県での高齢化の進展が強くみられ、教員の平均年齢が45歳を超えた学校も少なくない。こうした学校では、教師と子どもの関わりが量的にも質的にも貧弱化したり、教育活動にマンネリ化現象がみられたり、高齢化の影響により教育上看過できない問題が明らかになった。
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