(1)80年代以降、日本の基幹産業ではME化の進展に伴って、生産設備の自動化・ロボット化が進み、工程間の直結化・連続化の可能性が拡がり、メンテナンス労働の比重が高まった。特に、自動車、電機産業では自動化、無人化が進展する一方で、自動化ラインや設備をつくる仕事が重要視されるとともに、自動化設備の改善調整業務が拡大した。 (2)労働過程の高度化の進展のなかでME技術を兼ね備えた新たな労働力=テクニシャンが重視されてきた。特に、自動車、電機産業では高卒を基礎資格とする労働省認定の企業内職業能力開発短期大学校を設立し、テクニシャン養成を始める。そこでは大学並みの教育時間そして機械、電気、情報処理の各領域のバランス良い教育内容、それを可能にする教育方法が採られていた。企業内能開短大修了後の職場配置や処遇は、自動車、電機産業によって、また企業によって必ずしも同じではないが、共通していえることは単なる技能業務ではなく、生産技術分野やメンテナンス業務にウエイトをおいた配置、処遇が行われ、そこでは科学的知識や経験が求められていた。今ひとつ肝要な点は企業内のOffJTによって養成されていることである。 (3)こうしたOffJTの高まりは公共職業訓練の役割・機能に大きな影響を与えた。(1)ポクテクカレッジ修了者は作業現場の技能業務よりむしろ設計開発業務、生産管理、工程管理、保守保全業務といったテクニシャン関連業務に従事しているケースが多く、中小企業向けのテクニシャン養成機能を果たしている。(2)ポリテクセンターでは技能・技術レベルに応じた数多くのコースが開設されているとともに、新入社員教育、パワーアップ研修、各種技能資格取得等の中小企業の要望に応じながら、そこにおける教育訓練に連動する教育部分を担っている。
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