研究課題/領域番号 |
11610276
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 会津大学 |
研究代表者 |
太田 光一 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (40136362)
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研究分担者 |
井ノ口 淳三 追手門学院大学, 人文学部, 教授 (00106014)
藤田 輝夫 聖徳大学, 人文学部, 教授 (90006594)
貴島 正秋 芦屋大学, 教育学部, 教授 (60088698)
相馬 伸一 広島修道大学, 人文学部, 教授 (90268657)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | コメニウス / コメンスキー / パンソフィア |
研究概要 |
コメニウスは『開かれた言語の扉』というラテン語の教科書や『大教授学』の著者として、つまり教育学者として著名であるが、彼がそれとともにもっとも精力的にとりくんだことは、パンソフィア(汎知学)の完成であった。パンソフィア(Pansophia)とは、「πανすべての」「σοφτα知恵、知識」を意味するギリシャ語であるが、コメニウスにとってそれは人生に必要なあらゆる知を包摂した一種の百科全書であり、パンソフィアをすべての人に共通のものにすることは、世界に平和をもたらすために不可欠と考えられた。 そのような汎知学思想は、一つにはコメニウスの所属していたボヘミアの同胞団の中から醸成されたものであり、さらにはイギリスのハートリブを中心としたグループとの交流から発展させられたものであった。コメニウスの汎知学に最初に注目したハートリブはコメニウスのメモを『汎知学の先駆』の題名で出版し、ヒューブナーは教授学と汎知学の関係について様々な批評を行った。コメニウス自身はイギリス滞在中に『光の道』を執筆し汎知学の必要性を強調した。 コメニウスの汎知学は晩年になってより大きな構想「人間に関する事柄の改善」の一環に包摂されることになった。 同時に、汎知学思想の発展は、コメニウスの教育学にも反作用を及ぼした。コメニウスのもっとも初期の教科書『開かれた言語の扉』は汎知学思想をとりいれた『世界図絵』として結実したし、コメニウスがハンガリーで実践した学校は「汎知学校」となって発展した。 また、汎知学思想の発展は、教師による教授学と並んで、生徒による学習という側面をより強調した教育学を構想するものとなったのである。
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