本研究は、1920〜30年代にかけて組織された「ドイツ母の日全国委員会」の活動を素材として、当時の家族及び家庭教育がどのように議論されたのかを明らかにすることを目的としている。 本年度は、先行研究に基づき、この委員会の動きがどのような性格のものと位置づけられるのか、比較史的な視野からアウトラインを描く論文を発表した(小玉亮子「母の日のポリティクス」藤田英典他編『ジェンダーと教育』世織書房、1999 所収)。 そして、アウトラインでは論じることができなかった全体像を明らかにするために、さらに先行研究ならびに第一次史料の収集と分析を開始した。特に、第一次史料に関しては、ドイツ本国で調査する必要があったため、3月に海外出張を行い、主として連邦公文書館(ベルリン)、国立図書館(ベルリン)、を中心に史料調査を行った。そこで、「ドイツ母の日全国委員会」の活動報告が掲載されている刊行物Schriften zur Volksgesundung、Tatigkeitsbericht(1926-1932)及び、「家族を守るためのドイツ大家族全国連盟」の刊行物Bundesbltt fur den Reichsbund der Kinderreichen Deutschlands zum Schutzeder Familie といった、史料を収集することができた。現在、これらの史料の分析を進めているところである。
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