本研究は、次の2点の解明を主たる目的として進めた。 (1)寺子屋個々の実態を解明する上で欠くことのできない基本史料で、明治16年2月文部省達第1号に基づき、明治16〜20年ころにとりまとめられた東京府の「教育沿革誌編纂書類」(東京都公文書館蔵)・宮城県の「教育沿革史材料」(宮城県図書館蔵)などの全体像を明らかにする。 (2)これらの史料の分析をとおして、寺子屋の教育内容・教育方法の実態を全国的規模において体系的に明らかにするとともに地域・時代・師匠の男女差や教養の程度の違いなどが教育内容・教育方法にどの程度反映されているかを比較研究し、もって寺子屋教育が果たした役割を再検討する、この研究目的を達成するために13年度は、以下の研究を実施した。 1)前年度に引き続き宮城県の「教育沿革史材料」(宮城県図書館蔵)の内容分析を進めるとともにそのデーターベース化をはかった。 2)長野県の「教育沿革史之部」(長野県庁蔵)の分析を進めた。 3)新たに大分県の「家塾寺子屋事蹟調」(大分県立大分図書館蔵)の整理とそのデーターベース化に着手した。 1)については、『寺子屋の教育内容・教育方法に関する実証的研究』(第2次(最終)報告書)としてまとめ、印刷・公することができた。2)と3)については、今後さら、に分析・検討を加えなければならない。
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