研究最終年度にあたる今年度は、昨年度までの研究のフォロー・アップ作業を中心に進めた。具体的には、(1)収集した史・資料の検討により、これまでに発表した論文の記述を補足して再構成すること、(2)アンケート調査結果を分析することである。 このうち(2)については、回答率が低く、また有効な回答が少なかったことから、十分な分析を行うことを断念せざるを得ない結果となった。しかし簡単な結果報告は、アメリカにおける地方教育委員会教育長のプロフィールとして、研究報告書に掲載を予定している。 (1)のうち日本の歴史については、昨年度、史・資料の分析結果をふまえて、「戦後改革期の地方教育行政制度構想」(『東洋大学文学部紀要』(教育学科編)第54集、2001年3月25日、pp.197-224)として発表した。アメリカの教育委員会制度の歴史については、新稿を準備することはできていないが、これまでに発表してきた論文の記述を補足・訂正するかたちで活かし、これも研究報告書に掲載することとした。 研究全体としては、研究当初に設定した教育長職制度発展の3段階それぞれの特徴(エキスパートしての教育長、ビジネス・マネジャーとしての教育長、政治的指導者としての教育長)を明らかにしえたと考える。しかし、日米比較という観点については未だ史・資料の分析・検討が不十分な点も多く、これについては今後の研究課題としたい。
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