平成11年度の研究は、「小児がん入院治療に伴う幼児、児童、生徒の体力低下および退院後の体力回復の実態を把握し、体力低下や体力回復に関与する諸要因を明らかにする」という目的のために、横断的調査を実施した。測定項目は、形態測定として(1)身長(2)体重(3)体脂肪率(4)胸囲(5)上腕囲(6)前腕囲(7)大腿囲(8)下腿囲、体力測定として(1)握力(2)背筋力(3)垂直とび(4)立位体前屈(7)平衡性(8)最大酸素摂取量(間接法)である。それらのデータは、標準値と比較することとした。さらに、心理学的および社会学的側面の質問紙調査を実施した。 現在までに、白血病などで治療中の11名(男女比8:3、幼児6名、小学生4名、高校生1名)の初回の測定を終えた。その結果、背筋力、垂直とび、最大酸素摂取量などで低値を示す子どもが多かった。11名の体力低下の諸要因は検討中である。 今後、統計的検討に耐えうるよう各年齢層の測定対象を増やしたい。また、協力を得られたケースについての縦断的検討を進め、体力回復の過程と関与する要因を検討したい。
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