研究課題/領域番号 |
11610297
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
谷川 弘治 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助教授 (80279364)
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研究分担者 |
稲田 浩子 久留米大学, 医学部・小児科, 助手 (90223221)
駒松 仁子 国立看護大学校, 看護学部, 教授 (20195853)
稲木 光晴 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助教授 (20261787)
月本 一郎 東邦大学, 医学部・小児科, 教授 (70100964)
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キーワード | 小児がん / 耐力 / 倦怠感 / 社会復起 / 学校復起 / 理学療法 / ガイドライン / 白血病 |
研究概要 |
本年度の課題は、(1)小児がん治療に伴う体力低下・回復過程の特徴と関連要因を把握すること、(2)小児がん治療中、治療終了後の日常生活に関するガイドラインを作成し、家族・子ども向けのパンフレットを作成することであった。 1.血液腫瘍患児46名の体力に関するアンケート調査結果と、握力、背筋力、垂直とび、体前屈の測定結果を検討した。 (1)アンケートにおいて、退院時に体力低下を実感したものが85%を占めていた。主に階段昇降、歩行に差支えを感じており、脚の筋力、筋持久力の低下が示唆された。(2)体力測定値のZ変換値が-2SD未満の低値を示すものは17%から37%を占めていた。造血細胞移植群は、筋力、柔軟性で化学療法群より有意に低値であった。(3)Z変換値は、治療終了後の期間の長短で有意差が認められなかった。アンケートでは、退院時に体力が落ちたとされたものの多くは、測定時には「回復しつつある」と評価されたが、発病前の水準には及ばないものが化学療法群42%、造血細胞移植群69%を占めていた。 以上から、体力の回復は比較的緩やかで、測定値は低値であっても日常生活に適応できることが示唆された。また、日常生活で支障とされた、歩く、階段昇降ができないことは、体力測定実施項目の最低水準を下回ると思われる。子どもの生活感覚に即した生活体力を測定する指標が必要と思われた。さらに、体力低下が著しい場合、入院中から退院後長期にわたる体力面の相談、指導が必要と思われた。とくに、造血細胞移植後は極度に体力が低下することが多く、回復も遅れがちであり、配慮が必要である。 2.専門家によるパンフレット作成委員会を組織し、1.の知見を基礎に、日常生活のガイドラインを検討し、保護者向け、子ども本人向けの2種類のパンフレットを作成した。 3.ガイドラインについては、臨床適用し、検証することが必要である。また、生活体力、全身持久力、筋持久力等を含め、縦断的な調査検討を行う必要がある。
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