11年9月5日〜17日、ノルウェーのオスロ市及びエストフォール県において6高等学校、2中学校、1中学校、上記市県及びハルデン市の3教育庁を訪問し、学校・授業の見学、教員・生徒・教育行政担当者からの聞き取り、法規・統計・学校文書収集を行ない、又2名の日本の教育を研究するノルウェー人研究者と交流した。 実績の公表は、その一部を大学の授業や私的研究会で行なった。又、12年5月の日本教育法学会に研究発表を申し込んだ外、他の学会での発表も計画している。 本年度、主として現地視察によって、(1)高校1年くらいまでの授業は、概ねゆっくりと伸びやかに行なわれていた。生徒の自主的学習と共通教養を重視した教育課程改革は高校教員95%の肯定的評価を得ている。(2)しかし、数学・物理の分野で必要な能力・人員の育成には問題もあり得るとも思われ、事実、現地教員のそういう見解もあった。(3)後期中等教育段階の職業教育実習は、授業グループの最大人数15人までの整った施設設備のもとで現実の必要と生徒の要求に機能的対応して行なわれている。(4)高校進学希望者は志望3学科のいずれかに入学できるという制度は、優れた教育を受ける権利保障制度である。しかし、その制度の下で、オスロ市では通学区制限をしておらず学校間格差の拡大傾向が察知される。(5)生徒・父母、教職員、設置者行政団体、三者代表の協同決定による学校運営は、概ね良好な生徒-教員関係を創り出している、などということが明らかになった。
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