研究概要 |
本研究は今世紀に入って興隆した「国民教育」論について、また、インド独立後の国家教育制度の樹立の全過程に一貫して表出しているそれについて、歴史的、イデオロギー的、階級的立場を顧慮しつつ、その理念的究明を行おうとするもので、究極の狙いは発展しつつあるインドの国家教育制度の特質を明らかにしようとするものである。 本年は国内の関係研究施設・図書館の所蔵する資料による文献研究を進め、また、インドにおける専門家との意見の交換を行うことによって研究展開上の認識を深めることができた。 それについてはとりわけ、ニューデリーの国立教育計画行政研究所(NIEPA),国立教育研究所(NCERT)の各所長、部長、専門家との討議が有益であった。ムンバイー及びカルカッタでは国民教育運動、教育理論、教育実践で著名な諸機関を訪問し、関係諸分野の専門家との様々な討議を通し、本研究についての貴重なサジェッションを得ることができた。 裏面の研究発表欄に記載の通り、上記調査活動を踏まえた研究の一端を公刊しているが、これに加え、諸民族運動家・教育家の各教育論の分析を行って、「国民教育」論の内容・性格、時代の推移による論の特徴を明らかにすると共に、宗教改革運動、民族運動との内的関連、教育理論と運動の両面における国際的関連、さらに、独立後における諸審議会報告、政策及びカリキュラム等へのそれらの反映、並びに最近における技術革新や情報化の挑戦で新たに台頭しつつある傾向、等について究明することを図っている。
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