研究費申請の目的のもとに下記のごとき歴史的展開の諸相において、インドにおける国立教育研究所(NCERT)、国立教育計画・行政研究所(NIEPA)等、わが国における国立教育研究所、東大東洋文化研究所、アジア経済研究所等の訪問、研究交流並びに国内外で収集した豊富な資料に基づきこれを究明してきた。その成果の一部は裏面の研究発表に掲載の諸論考のなかにすでに吸収しあるいは具体化しているが、近刊予定の『インド近代教育史』(東信堂)に全面的に反映させつつある。 この関係において本研究の構造を示すならば、一つは民族教育意識の形成とその教育実践の究明であって、そこではインドにおける近代教育導入の歴史的経緯並びに主要な教育論及び教育活動を通しての民族的批判の特質の解明に焦点づけられる。二つは民族運動の発展と国民教育理念の形成の究明であって、それを宗派的、階級的、地域的教育観から国民的教育観の形成にいたる過程として捉えている。その究明においては国際的関係、なかんずく19世紀末頃から意識化する日本の教育の存在意義を視野に入れている。 三つは国民教育の実体化であって、20世紀に入っての国民教育運動の展開並びにマハートマー・ガーンデイーの役割の実相に焦点づけている。四つは独立後における教育発展と国民教育理念の再構成であって、これを政策的展開に即し扱っている。五つは全体的総括であって、90年代に入って焦眉の急を遂げる国民教育における現代化の問題に即し、とくに教育普遍化と卓越性の追及の諸側面を踏まえ考察している。
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