研究概要 |
平成11年度から継続している族譜資料の画像データベース化のための基礎作業として、申請者の手許にある族譜の整理、スキャナー等による取り込みを行うとともに、国立民族学博物館の「牧野巽文庫」所蔵の華南の族譜資料の参照と、その一部の複写を行った。そして、このようにして入力した族譜画像データの基礎の上に、画像の調整処理(画像サイズ調整、横転画像の回転処理、不鮮明画像の明度/コントラスト調整など)を行い、画像データを完成させた。こうして完成した1,291枚の族譜画像データ、および関連資料画像データ62枚は、保存のためにCD-ROMに焼き付けを行った上、試作的な族譜画像データベースを作成した。画像データベースには、族譜データの効率的な検索を可能とするため、「序文」「世代情報」「移住情報」「風水情報」「修譜情報」「業績情報」「地域史情報」などのインデックスを考案して付与した。 これらの族譜画像データベースを基に、香港新界の宗族発達と嶺南マクロリージョンの発展サイクルについての考察を行い、そこに整合的な関係が見いだされることを指摘した。また、同じく族譜データを用いて、香港新界客家系住民の移住史およびそのアイデンティティーの変遷についての概観を行った。本研究の成果報告書には、これら族譜画像データベース作成上の諸問題に関する考察と、族譜の分析を応用した研究例に加え、今回画像データ化した族譜全てをCD-ROMに焼き付けて添付した。
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