本年度の研究実績は以下のとおりである。 前年度までに作成したマヤ語のデータベースから、身体および疾病に関する語彙の検索を行ない、その分析を行なった.この分析により、従来あまり論じられてこなかったマヤの身体観とその身体に関する生理学的知識のありようが明らかになった. 分析の経過報告として、平成13年年6月2日に名古屋大学で行われた日本ラテンアメリカ学会研究大会で「 民俗語彙分析によるユカタン・マヤの疾病観再考」と題する研究報告を行った.また、2001年7月25日にメキシコ、ハラパ市で開催された第5回国際マヤ学者会議では、シンポジウム「植民地時代マヤ語文献を読む-スペイン支配下におけるユカタン・マヤ社会」('Analizando los Textos mayas coloniales: la sociedad maya yucateca bajo el dominio espanol.')において「疾病に関するユカタン・マヤの語の民俗語彙分析」("Unarevision taxonomica de vocablos maya-yucatecos sobre enfermedad")と題した報告行い、メキシコやアメリカのマヤ研究者と意見交換を行った. 8月には、語彙分析から得られたデータを元に、ユカタン州ツァン村、ショーケン村等において聞き取り調査を行い、身体および疾病に関する語彙の確認を行った.また、身体語彙に関しては、家禽や豚、牛などの部位の名称を家畜解体業者に確認し、人間の身体部位の名称との比較を行った.また、保健所の看護婦等への面接を通じて、ユカタン・マヤの人々の医療行動を確認した. 以上の、語彙分析および現地調査の情報を元に、ユカタン・マヤの疾病観に関する最終報告書を作成した.
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