研究課題/領域番号 |
11610329
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
稲畑 耕一郎 早稲田大学, 文学部, 教授 (30063803)
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研究分担者 |
稲葉 明子 早稲田大学, 演劇博物館, 助手 (50298197)
橋本 裕之 千葉大学, 文学部, 助教授 (70208461)
細井 尚子 早稲田大学, 商学部, 講師 (40219184)
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キーワード | 中国 / 仮面劇 / 儺戯 |
研究概要 |
本年度は、夏の調査で多くの視聴覚資料を得たほか、それを用いた十一月の実演を伴う安順地戯の研究発表会は反響が大きかった。安順地戯における読書調(脚本の読み合わせに用いる節)と演出調(実演の際に用いる節)を対比して示すことにより語り物と演劇への転化の問題点を提出することができたと考える。読書調については稲葉が引き続き各村を回って収集を続けている。 安順地戯パフォーマンスとしては龍宮鎮蔡官村、旧州鎮〓家屯村の映像を複数入手したほか、安順地区博物館李業成氏との交流により東部地区西部地区の差異などの問題点も提出された。李氏はまた安順地戯の担い手である漢族の一派「屯堡人」文化について発表を行い、西南地区研究に一石を投じた。 安順地戯では村村に長編故事の「地戯班」があるが、本来口承のため、歌詞の実態は把握しにくい。7、80年代には多くの油印本がでまわったというが、それすらも現在は入手しにくい状況である。そこで、安順地区博物館並びに群集芸術館の協力を得て、主な長編故事について抄本、油印本を入手・複製して早稲田大学演劇博物館に贈った。今後説唱文学としての安順地戯研究に繋げる下地を作ったと考える。 儺戯方面では、夏の調査で黔北地区〓潭についても多くの資料を得ることができるとともに、何よりも地元の儺戯研究会との座談会が最も大きな収穫であった。特に羅耀森法師の語る儺戯の九板十三腔は、「兄弟芸術」(地域の他のジャンルの芸能)との関係も含めて追究の余地がある。来年度は地元研究者の豊富な研究実績を踏まえて更に交流を行い、研究の深化をはかりたい。
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