1.中津川に出張し、間家に所蔵されている大量史料の調査撮影作業を継続した。その際、文久元年和宮江戸降嫁にかかわる大奥老女の書状及び間家宛へ御礼として贈られた特別摺の錦絵帖を発見した。また間家と姻戚関係にある中津川豪商菅井家史料の調査撮影もおこなった。 2.馬籠の藤村記念館所蔵の「大黒屋日記」は、中津川宿の動静を知る上で不可欠の史料であるが、プライヴァシーの問題があるため写真撮影は不可能であり、このため、平成12年度より同館に赴き、必要部分の筆写を開始した。平成13年度もこの作業を継続し、調査と筆写を完了した。その情報は質・量ともに極めて良質であり、平成12年度に撮影した間杢右衛門家の「永代日記」と併用すれば、幕末維新期の中津川の動向を相当詳細に把握することが可能であることが判明した。 3.本科研調査の過程で、東京代々木にある平田篤胤を祭る平田神社に所蔵されている平田家史料の閲覧が可能となった。このため、平成13年度内に数回調査をおこない、略目録の作成を開始した。 4.中津川史料の内、市岡家に所蔵されている10冊の大部な風説留に関しては、平成13年7月まで、ゼミを利用しつつ、院生と研究をおこなった。 5.撮影史料に関して、一点ごとの分析をおこないつつ整理を進めた。 6.調査研究にもとづいて、中津川商人と横浜交易との関係及び中津川と馬籠との密接な交流に関する二論文を雑誌に掲載した。 7.中津川の国学者史料は、全国レヴェルでも貴重な史料であり、その地元での保存・活用が必要であることを訴えるため、中津川高校において学術講演をおこなった。 8.本科研調査の過程で、中津川に中山道歴史資料保存会が組織され、中山道資料館(仮称)建設運動を開始した。史料保存の面から、この運動に可能な範囲で協力した。
|