南部荘故地中心部のインターチェンジ部の発掘調査は計画通り進行中であり、高田土居外郭部(北側)は全掘された。これに対応して、同地区中心に緊急に水田遺跡調査を実施し、ほぼ8割方の地権者に面談して調査を終了した。調査結果については、以下の通り。 1.南部町・南部川村のすべての水利組合に接触し、所蔵文書を確認の上、現況・旧状二様の「南部平野水利概況図」を作成した。 2.南部町・南部川村の税務課が所轄する明治初期地籍図を閲覧し、平野部については全てトレースした。また、それを、現在の1/2500地形図にプロットした「明治期地籍地割集成図」を作成した。 3.南部町域の石造物調査をおこない(一部南部川村も)、中世と近世初期の分については写真版からトレースして分類表を作成した。 4.インターチェンジ地区の地権者リストを入手し、芝・東吉田・徳蔵・気佐藤(新庄)・埴田地区で個別調査を実施して、耕地一筆単位で通称・土壌・水回し・農事慣行を調査し、カードに集成した。 5.スキャナーを使用して、簡単な調査概報を作成し、地元の地権者および荘園遺跡に詳しい学識経験者に配布してアンケート形式で意見を聴取した。 6.近世文書を中心とする区有文書類の未刊史料の確認調査を実施した。東京大学文学部に関係文書のあることも確認できた(未調査)。
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