中世南部荘(現在の南部町・南部川村上南部地区)の中心部を高速道路が貫通し、耕地景観が一変するのに先立って荘園遺跡調査を実施した。 1)通称地名・水掛調査 インターチェンジ敷設予定地域に水田をもつ地元の地権者のほぼ全て(72名)に面談して、聞取調査を実施して2500分の1通称地名図・同灌漑概況図を作成した。水利組合所蔵史料も確認した。 2)石造物・木造物調査 鎌倉・室町期の遺物を保管する安養寺・須賀神社の石造物・棟札類を集中的に調査し、有銘のものは拓本・無銘のものは形態編年してデータ化した。 3)古文書調査 高野山霊宝館蔵の御影堂文書等を筆写し(高野山大学密教文化研究所の写真帳)、翻刻許可をとった。 4)学術シンポジウム 高田土居の発堀成果を学際的に検討するため、調査担当者を招いて検討会を実施し、あわせて中世遺跡に対する啓発を行った。 5)成果の普及 以上の全成果は成果報告書『中世探訪・紀伊国南部荘と高田土居-検注を拒否した人々-』(158頁・付図2)に収録し、県市町村の文化財担当者に配布した。増刷して啓発・普及も計画している。
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