今年度は、琉球王国法制史料の基礎的調査と収集および史料翻刻を行った。 首里王府法の史料としては、沖縄県公文書館所蔵(岸秋正文庫)の「仰渡写(道光6年)」を発掘することができた。本文書は、368丁の冊子体に107件の王府評定所から関係部署へ通達された法令が取りまとめられ、最古の雍正2(1724)年から道光2(1822)年までの時代幅をもっている。未発掘の単行法令集であり、当該期の王府法を解明する上で重要な文書であることが判明した。 文書調査では、勝連町南風原村文書を複写・収集し、データのパソコン入力を開始した。同文書は、琉球の土地制度(地割制度)の根本史料であり、単なる土地所有論としてではなく、村落における慣習的土地所持を検討する上で不可欠の古文書である。さらに、久米島上江洲家文書中の法制関係を複写・収集した。同文書は、王府法と久米島在地の慣習法との関連を解明する上でのデータとなる文書群である。 その他、道光6年・7年・16年の「唐物方日記」(法政大学沖縄文化研究所蔵)中から犯罪・刑罰関係52件を発掘することができ、データ入力を行った。
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