本年度は、第四回内国勧業博覧会の資料の収集を中心に行い、明治時代の京都の有力新聞である「京都日出新聞」と京都市の行政史料文書を収集した。「京都日出新聞」は京都府立総合資料館と国立国会図書館から、行政史料文書は京都市役所の情報公開に基づき京都府参事会と京都市会文書を複写した。第五回内国勧業博覧会の資料として『明治前期産業発達史資料』に所収されている博覧会関係文書を収集した。 本年度の研究の成果として、以下の2論文を執筆した。 I 「第四回内国勧業博覧会の出品物分析」(東京都立短期大学文化国際学科『文化国際研究』第7号、平成15年1月、41〜54頁)【内容】第四回内国博の出品物数の変動要因として、(1)出品物の精選、(2)日清戦争(各業種の繁忙による出品困難、運輸不便による出品困難)の存在を提示し、産業別出品では農具は洋式農具の導入政策に反して有効な洋式農具は広大な開拓地を抱える北海道を除いては出品されなかったこと、機械では機械種により技術移転の諸段階が見られること、国産化が進んでいるのは機械部品であることなどを明らかにした。 II 「近代産業-内国勧業博覧会出品物にみる機械工業の変遷-」[奥田晴樹編著『近代日本史概説』(仮称)弘文堂、平成15年6月発行予定]【内容】近代産業の変遷を捉える素材として機械産業を取り上げ、内国勧業博覧会のうち、第1回(1877年)、第3回(1890年)、第5回(1903年)の出品物など分析、機械化の特徴を提示した。結論として各回の内国博における機械化の段階を提示した。
|