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2000 年度 実績報告書

北アフリカにおけるイスラーム化と宗教的マイノリティ問題の歴史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 11610367
研究機関北海道大学

研究代表者

太田 敬子  北海道大学, 文学研究科, 助教授 (40221824)

キーワードイスラーム化 / コプト教会 / 文化変容 / 東方キリスト教会 / イスラーム社会 / 宗教対立 / マイノリティ
研究概要

昨年度作成した宗教的マイノリティに関する文献リストに基づき、史料収集を継続したが、その最大の成果はレバノンのSt.Joseph Universityの刊行しているオリエント論集を入手できたことである。またエジプトへの海外出張の際には、特に同国におけるコプト研究に関する最新の論文・図書を入手できた。
本年度の文献研究は、イスラーム支配下のコプト教会とコプト人コミュニティの変化について、その歴史的経緯を初期イスラーム時代からマムルーク朝(1250-1517)成立まで詳細に辿ることと、その結果をシリア単性論派教会の事例と比較検討することを主眼としていた。しかしながら、10世紀までのコプト教会とムスリム政府との関係、コプト教徒への課税問題、さらにコプト教徒の坑租運動と反乱、コプト教徒の人口減少と改宗についての記録を詳細に辿っていく過程において、エジプトだけでなく北アフリカ全体に関するイスラーム化を、広い視野で研究するためには、比較対象として異なる地域のキリスト教徒マイノリティを設定することは有意義ではあるが、その前にまず当該地域のイスラーム分派(ムスリム内のマイノリティ)の歴史をまず取り上げる必要を認識した。そこで、コプト社会史を詳細に検証する作業と平行して、ベルベル部族におけるハワーリジュ派の運動、シーア派イスマーイール派の運動とファーティマ朝史の検討を行った。その結果、イスラーム普及において分派の宣教運動の果たした役割が非常に大きかったこと、それがコプト教会と同様に現地住民の中央政府に対する不満を統合する核となったこと等の結論を得た。また、マグリブ、イフリキア、エジプトに共通して現地住民(ベルベル人やコプト人)と土着化したアラブの連携が、時代を経るに連れて反政府運動の中で顕著になり、その両者を結びつけることが独立王朝の樹立に際して重要な要因であったことが明らかになった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Ohta, Keiko: "Migration and Islamization in the Early Islamic Period : The Arab-Byzantine Border Area"The Concept of Territory in Islamic Law and Thought : A Comparative Study Kegan Paul International, London and New York. 87-99 (2000)

  • [文献書誌] 佐藤次高(編): "岩波講座世界歴史10-イスラーム世界の発展-"岩波書店. 315 (1999)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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