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2000 年度 実績報告書

16・17世紀中国北部辺境における多元社会の形成と発展

研究課題

研究課題/領域番号 11610371
研究機関京都大学

研究代表者

岩井 茂樹  京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (40167276)

キーワード中国辺境社会 / 多元社会の形成 / 熊廷弼 / 遼東馬市 / 貢敕制度 / 板升 / ヌルハチ
研究概要

北辺における多元社会の形成の焦点をなす遼東地区について,1610年代以降の最重要資料である熊廷弼の奏議・書簡類を,明代刊本にもとづいて整理する作業をすすめた。目録をデータベース化するとともに,明代刊本の画像をスキャンし,Hyper Text Mark-up Languageをもちいて目録と画像とのあいだにリンク付けをおこなって,当該資料のオンライン化を試みた。
遼東における「馬市」制度の形成と変遷についての資料を収集した。これを分析した結果,遼東におけるモンゴル・ジュシェン諸集団と明朝との関係は,おおむね辺境交易の利害を軸として変動していたことが明かとなった。貢敕制度による交易の規制と特権の分与は,覇縻政策によって地域の安定化をはかる明当局にとって重要な手段であり,モンゴル・ジュシェン諸集団相互の勢力関係も,対明交易にどのようにかかわり,そこからいかに大きな利益を上げるかという点によって左右されていた。
また遼東における漢地と夷地との経済的交流の拡大は,遼東にも「板升」すなわちモンゴルやジュシェンの支配化のもと農耕などに従事する漢人の集落を生みだした。やがてヌルハチのもと,ジュルチン・モンゴル・漢人の三重帝国として発展していった満洲集団には、海の上の南倭=倭冠とおなじく、言語や種疾を乗りこえて形成されたマージナルマンの姿がつよく表れている。中心と辺縁とのあいだを動いた銀と商品、辺境の経済ブームのなかに生じた武装-商業集団の活動。この二つの事態が、十六世紀の半ばからおよそ百年にわたる東アジア全域の動乱と再編の底流をなしていたと評価することが可能である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 岩井茂樹: "清代の版図順荘法とその周辺"東方学報京都. 第72冊. 381-450 (2000)

  • [文献書誌] 岩井茂樹: "武進県『実徴堂簿』と田賦徴収機構"中国明清地方档案の研究(夫馬進編京都大学文学部). 179-200 (2000)

  • [文献書誌] 岩井茂樹: "嘉靖四十一年浙江厳州府遂安県十八都下一図賦役黄冊残本考"中国明清地方档案の研究(夫馬進編京都大学文学部). 37-56 (2000)

  • [文献書誌] 岩井茂樹: "明代『徽州府賦役全書』小考"'98国際徽学学術討論会論文集(安徽大学出版社). 291-304 (2000)

  • [文献書誌] 岩井茂樹: "武進県の田土推収と城郷関係"中国近代の都市と農村(森時彦編京都大学人文科学研究所). 3-32 (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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