晋泰始4年(268)、これまでの漢律、魏律を改定して、新たに晋の法典が制定される。これは、中国史上はじめて律典と令典という二つの法形式が成立する画期的なものであった。 この二つの法典を生み出した原因を明らかにした論文が「晋泰始律令への道」(『東方学報』73)である。 書写材料が簡牘から紙に変化した結果、ファイルとしての機能に優れていた簡牘からすでに書籍として使用されていた紙に主権者の命令たる令が書写され編纂されるに至ったこと。 今ひとつは、後漢期に隆盛となる禮教主義、その礼の理念と形式が現実の法として採用され、とりわけ行政法規的性格をもつ『周禮』が、現実上の行政法規たる令典へと結びつけられていった、以上が解明された成果である。
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