日本および中国・欧米を含めて、従来の中国明代史の研究においては、明末清初期に関する社会経済史研究が最も注目を浴び、かつ盛んであった。この時期の社会変革が着目され、様々な社会経済史的アプローチが試みられたからであった。しかし、今日では、研究分野の新規開拓が進むと共に、各分野ともそれぞれの専家を擁するようになり、研究分野の細分化とともに、未だに放置されたままの研究分野は、ほとんどなくなったが、歴史"情報"にかかわる研究は、これからの多大な可能性を秘めた新しい研究分野である。 そこで、中央大学が所蔵している明清時代史料、東洋文庫その他の公的機関・特殊文庫等所蔵の史料、それに中国所在の史料などに対して、川越泰博は、○明代中国における「モンゴル情報」関係資料、○明代中国における「ベトナム情報」関係資料、○明代中国における「朝鮮情報」関係資料などを担当し、石井正敏は、○明代中国における「日本情報」関係資料、○日本における「明情報」関係資料などの収集と分析を担当し、それによって一定の知見・成果を得たものは、著書・雑誌論文という形で発表した。
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