六朝前期(魏晉時代)の貴族制社会の特徴と貴族制の本質を明らかにするため、とくにその制度的根幹をなす九品中正制(九品官人法)に対する同時代の朝廷における批判(1-(1))と在野からの批判(1-(2))を分析、考察し、それと同時に貴族制という歴史的概念そのものを問い直す(2)。平成13年度は1の(1)については、「魏晉時代における九品中正制批判の議論に関する考察、訳注篇」を執筆、投稿した。具体的には夏侯玄・衛〓・李重・潘岳の議論の訳注である。1の(2)については「魯褒『銭神論』訳注」が掲載された。ただし、「『釈時論』の世界」は執筆したものの、3つ問題点があり、それを解決した上で投稿の予定。また、1の(1)中心に(2)をも含めた「魏晉時代における九品中正制批判の議論に関する考察」については、土断の再評価など浮かび上がってきたが、平成13年度中には完成にあたらず、平成14年度中での完成を期す。2については「内藤湖南の六朝隋唐貴族論の特質」を執筆、湖南の貴族論の特徴を、清朝の考証学の影響を中心に考察、その中国語訳が武漢大学の中国文化研究院の『人文論叢』に掲載される予定である。
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