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2001 年度 実績報告書

ローマ帝国属州ブリタンニアと属州ゲルマニアの研究

研究課題

研究課題/領域番号 11610391
研究機関京都大学

研究代表者

南川 高志  京都大学, 文学研究科, 教授 (40174099)

キーワード属州 / ブリタンニア / ゲルマニア / ローマ帝国 / ローマ化 / 都市化 / ラテン語 / 碑文史料
研究概要

本年度は、この研究の最終年度であり、3年間にわたる研究の成果に基づいて報告書を作成することに努力した。属州ブリタンニアについては、生活や統治の実態に関する考古学研究の成果をふまえた分析を、ごく短期間ではあったが、ロンドン大学古典学研究所とケンブリッジ大学古典学部、および同大学考古学科で調査することによって、さらに進めることが出来た。さらに、19世紀後半からの歴史学・考古学の発展のなかで、この属州の歴史や意義が如何に解釈されていたかという研究史の検討にも力を注いだ。ローマ帝国がブリテン島でおこなった統治行為の理解、とくに「ローマ化」の概念でもって集約的に表現される研究者の解釈が、19世紀後半以降のイギリスの植民地政策、とりわけインド統治と深い関連を有し、ローマ帝国と大英帝国とが密なつながりを持っていたことを明らかにしえたことは成果であった。
属州ゲルマニアについても、ドイツ史の歩みの中にローマ人の統治行為を位置づける試みをおこなった。ヘルマン記念像建造に現れているように、ローマ人を撃破したゲルマン人の首領を英雄視する行為は、19世紀ドイツのナショナリスティックな思潮を典型的に表現しているが、それはギリシア・ローマ時代の古典への崇拝と共存していた。ところが、ドイツ人のゲルマン起源重視傾向は20世紀になるとより強力なものとなって、民族の位置づけに関してイギリスなどと対立するものとなってゆく。この経過を、イギリスの動向と関係させて理解することが出来たことは有意義であった。
研究成果報告書では、1990年代にトイトブルクの戦いの戦場跡が発見されたことなどを含めて属州ゲルマニア研究の現在の動向を論じ、さらに属州ブリタンニア研究の今後に向けた問題提起の論文を草して、一応のまとめとした。

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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