東シベリア地域の中石器時代から青銅器時代の環境変化とそれに伴う生業の適応形態の変遷を探る上でキーワードとなる漁撈の発生と技術的変遷を探るため、プリバイカルを中心とした漁撈具の集成(釣針・銛・ヤス-91遺跡472点)を行い、その意味について考察した。また、新石器時代から青銅器時代の編年の基準となる土器編年をプリバイカル・アンガラ川上流域の多層遺跡の調査成果をもとに整理し、墓出土資料との比較材料を整備した。 さらにこの地域の主要道具を構成する細石刃を挿入した植刃器の変遷を探る意味で、旧石器時代・中石器時代の新資料を追加し、新石器時代と青銅器時代の例を加え、新たな集成を行った。その結果、旧石器時代24遺跡105点、中石器時代14遺跡46点、新石器・青銅器時代40遺跡120点を把握した。またその意義についても考察し、埋葬資料の分析からとくに新石器〜青銅器時代の短剣やナイフ形の植刃器にツングース族の男性の携帯状況との比較を行い興味深い結果を得ることができた。 プリバイカルを中心とした墓資料の再整備を進行中で、現在まで130墓地、700例ほどの埋葬資料を、副葬品構成、遺体の性齢、埋葬習俗などの項目ごとに集成している。
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