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2000 年度 実績報告書

古代窯業生産地の消長と地方制度

研究課題

研究課題/領域番号 11610417
研究機関京都府立大学

研究代表者

菱田 哲郎  京都府立大学, 文学部, 助教授 (20183577)

キーワード窯業生産地 / 官衙遺跡の推移 / 9世紀の画期 / 古代寺院の展開 / 集落遺跡の動向 / 大開発の時代 / 陶邑窯跡群の消滅 / 生産遺跡の消長と地方制度
研究概要

本年度は各地の窯業生産地の消長について、官衙遺跡と集落遺跡の変遷を軸に検討することをおこなった。中心としたフィールドは播磨地域であり、多可郡・賀毛郡・加古郡・印南郡などの加古川流域のほかに飾磨郡・揖保郡・赤穂郡・佐用郡などの西播磨の地域をおもに扱った。その結果、窯業生産地が再編成される9世紀は官衙遺跡についても画期となる時期であるばかりでなく、この時期に終息する、あるいは開始する寺院も多く見られることが明らかになった。一般に9世紀は大開発の時代と考えられ、集落遺跡にも変動があることが知られているが、その背景、あるいは結果として、従来の窯業生産や地方統治システムに動揺を与えたものと考えられる。前代からの中心的な大生産地である大阪府の陶邑窯跡群も9世紀を通して衰退し、10世紀には廃絶してしまうが、このことも各地の動向と無縁ではなく、単に土地利用や支配関係の変化というのではなく、列島全体を覆う構造変化であったと評価できるであろう。
9世紀までの窯業生産地は均質に各地に営まれているが、それ以後の生産地には大きな偏りがあり、たとえば北部九州ではほとんどの須恵器生産地が廃絶するように、地域の需要の観点では説明できない事態になっている。畿内近郊の生産地で見られるように、9世紀以後の窯業生産地には特産品的な生産がうかがえることも、それ以前の生産と一線を画するものであろう。本研究の成果としては、窯業生産地の消長は、官衙や古代寺院の変遷とも時期的に符合するものであり、7世紀後半や9世紀前半に大きな各期的があることが明らかになった。これは集落遺跡の動向とも関連しており、地域を越えた変動であると評価することができる。その背景には9世紀から10世紀にかけての地方制度の変動があったものと考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 菱田哲郎: "東大寺丸山西遺跡出土の瓦について"南都仏教. 78. 43-53 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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