研究概要 |
1.前年度に引き続きテル・マストゥーマ,さらにユーフラテス水没地区遺跡の遺構・遺物の実測図を入力してイラストレーターでトレースし,データベース化の作業を行った。また,図面と関連する写真も入力し,実測図と写真の一体化をはかった。図面のトレース及びデータベース化の作業は次年度も継続される。 2.テル・マストゥーマの集落構造を出土遺物との関連で,部屋,家屋,街区の機能の把握検討が継続して行われた。遺物の比較研究では,各部屋から出土している遺物の統計処理とともに,家屋や街区の機能が明らかとなってきた。 3.研究協力者の足立拓朗によりテル・マストゥーマ出土の鉢形土器の分析が行われ研究成果が纏められた。胴部屈曲浅鉢2類・棒状把手付鉢・ループ状把手付鉢は,レヴァント地方の小国家群が共通して有する物質文化であり,口縁外屈鉢・胴部屈曲浅鉢1類はメソポタミアの後期アッシリア時代に典型的な物質文化で,レヴァント地方の拠点的な都市にも出土していることが明らかとなった。 4.青銅器時代から鉄器時代の遺跡分布とその立地,遺跡の規模と遺跡相互の関連の検討を行い,鉄器時代における丘陵地帯の開発が,テル・アフィスのような中心的都市の復興と連動しているのがより鮮明になった。 5.西アジア及び周辺地域の発掘報告書の購入及び関連図書の複写を行った。
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