本研究においては、1)清末から1930年代までの中国文学作品において、近代的学校制度、学校という場、児童生徒、教師がどのように描かれてきたかを整理する、2)近代教育史、社会史の成果を参照して、近代中国における学校の現実、社会一般の学校に対する考え方と、文学作品に現れた学校を比較し、その特殊性を明らかにする、ことを目標に挙げており、2年目にあたる今年度は、1)文学革命以降の文学作品を調査し、学校に関する記述をデータベース化する、2)1)の資料をもとに、1920年代、30年代の文学における学校についてまとめる、計画を立てていた。 今年度計画の1)に関しては、昨年同様、インターネット等を通じて、新たに千近くの文学作品の電子テキストを集めることができた。さらに、学校、学堂、学生、教師などのキーワードによる全文検索も行った。この結果自体については、分量が非常に多いこともあり、印刷媒体での発表は考えておらず、インターネットを通じて公開すべく計画中である。また、民国時期の雑誌や日記類の電子テキスト化も計画したが、こちらの方は、この予算規模では無理であった。 2)に関しては、民国時期の日本留学生の日本体験に関してまとめ、目下印刷中である。研究の過程で、現在の中国文学を考える時、国内における学校だけでなく、海外での留学体験も視野に入れる必要性を強く感じた。その問題意識の下に、海外在住作家の作品と中国における反応についてまとめ、印刷中である。
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