英語の動詞表現等が「結果」までの意味を含む場合と結果は含まず「過程」の意味のみをもっている場合とがあることは良く知られているが、研究を進めると、to shoot NPなど「結果までを含む表現」は、「結果が焦点となっている」ことが明らかになってきた。さらに、「結果を含まない表現」には、to kick at the doorのように「過程が焦点となっている表現」とto stop a person from doing「結果を含まないことが焦点になっている表現」との二つの場合があることが明らかになった。あわせて、「結果までを含む表現」の受動態は、He was shot.のように、それでおしまいという「完結的意味」をもつのに対して、「結果を含まない表現」の受動態は、He was shot at.のように、その後も狙われ続けるという脅威の念を受動態の主語に抱かせる「持続性」、「非完結性」の意味をもつことも明らかになった。また、結果を含まないようにするのは、着点に向かう行為がどの時点で中止されるのかに関して、いくつかの種類があり、それが表現の違いとして具現化していることが観察された。to stop a person from swimmingでは「泳ぐ前からの中止」が表され、to stop a person swimmingでは「泳いでいる人を途中でやめさせる」意味となるなどである。「結果の含意」に関して、当初の予測通り、連続的段階性(gradience)がみられることを表す例の収集も進んでおり、連続的段階性に(i)強い会話の含意(strong entailment)、(ii)強勢の置き方による結果の含意の変化、(iii)動詞による含意の違い、などの観点からの分析が有効であることも実証されつつある。
|