本研究は個人で行なうにはかなり大規模なプロジェクトとして構想されたため、効率的な方針を立てるのが困難であることが予想された。そこで申請者は、まず、60年代以降の現代アメリカ演劇についての研究を先導する立場にあり、申請者の留学中の指導教官だったリチャード・シェクナー教授(ニューヨーク大学)と、この時代のみならず、現代アメリカ演劇の研究者として、またポスト構造主義批評の論客としてアメリカを代表する(申請者とは個人的面識がある)ハーバート・プラウ教授(ワシントン大学)の二人に本研究についてさまざまなご教示をお願いし、また二人が個人的に収集している資料もかなりあるので、それを提供していただくことから本研究を平成11度から開始した。平成12・13年度は、本研究の比較文化研究的側面を探求するために、ヨーロッパや日本の演劇実践に関する基本図書、すなわち演劇関係の研究書や演劇を扱ったさまざまな雑資料(新聞、大衆雑誌を含めた諸雑誌)の収集を行なった。また、60年代以降の欧米ならびに日本における思想状況を把握するために、さまざまな学問領域における基本図書の収集も開始した。さらに、活字メディア以外の演劇実践に関係する当該地域の映像資料も可能なかぎりの収集もはじめた。最終年度に当たる平成14年度は、資料収集を継続する一方、過去3年間に収集した資料の整理とその資料に基づく著作執筆に取りかかる期間になると申請者は位置づけた。本研究の4年目における成果については、単独の学術論文として発表するが、同時に、国内外での学会発表も予定しており、最終的には年度内に著作の構想が完成していることが望ましいと考え、次年度以降の出版を目指し、現在、すでに執筆を開始している。
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