本研究は、動的文法理論(Dynamic Theory of Grammar)を基盤とする文法研究の現状と今後の理論的展望を考察することを目的とし研究を続けている。 研究2年目にあたる本年度は、昨年度作成したデータベースを基に、両研究者は現代英語についての言語資料の収集、整理、分析を進めており、その研究成果はすでに今年度論文の形でまとめられ刊行されているものもある。具体的には、長原はすでに発表している不定詞節における否定辞の占める位置についての研究をさらに精力的に進めており、また、河野は名詞句内部に生起する範囲指定の関係節の特徴並びに関係節と部分表現との関係についてそれぞれ論文にまとめた。これらの研究は現段階ではコーパスを利用した実証的性格の強いものが多いが、しかし、今後の研究の進展によっては理論的貢献を含んだ性格のものに発展する可能性が期待されるものもある。 また、昨年度に引き続き本年度も、言語事実調査に必要な現代英語のデータベースの作成を継続し、資料の拡充と整備に力を注いだ。 本研究全体の進行状況は、当初の計画に沿いほぼ順調に進んでいる。現代英語のコーパスの作成はまだ完了したわけではなく、来年度も継続することによりデータベースの一層の整備・拡充にあたると同時に、上記研究にも引き続き力を注ぐ予定である。
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