本研究の主な結論は以下の通りである。 1.evenへの作用域付与は必要である。焦点化辞をそのままの位置で解釈する理論は誤りである。 2.否定対極表現としてのevenは存在しない。 3.焦点化辞そして恐らく数量詞への作用域付与の主たる役割をになうのは、統語規則ではなく意味解釈規則であるとした方がよい。統語構造上隠れた命題が「だけ」の作用域を提供する現象は、この説にとって証拠となる。 4.「さえ」の作用域は、それを含む最小の時制文を越えない。 5.evenおよびonlyは、PPおよびNPの中に自由に現れることができない。実例の観察から、この制約には多くの要因が働いていることが分かる。動的文法理論の見方によれば、この制約は主に阻止(blocking)の現象であり、それは、言語習得の初期段階で助動詞位置と焦点化辞の間に強い結びつきができることにより生じると考えることができる。
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