研究概要 |
本年度は主として、これまでイギリスのハル大学のブリンモア図書館とラーキン資料室で調査したラーキンに関する資料や、アイルランド及び北アイルランドで収集したイェイツとヒーニーに関する資料を踏まえて三人の主要な詩の脚韻を詳細に調べ、そのパターンと詩の内容との関連性を追究した。この際機械的な韻の分析に終わることなく、内容との関連性を重視している点が本プロジェクトの大きな特色である。ラーキンの詩においては不完全韻の巧みな使用や、完全韻と不完全韻との対照を通して、詩人の微妙な感情やその変化を表現している箇所を具体的に例証し、併せてその作品の解釈も行った。また三人が書いたソネットのさまざまな脚韻の型を調べてそれがもつ文学的な意味も検討した。以上の研究を中心にまとめたものが英語の論文「韻の文体-ラーキン、イェイツ、ヒーニ」"Rhyme Style : with Examples from Larkin, Yeats and Heaney"(POETICA,58,2003)である。この論文は同時に本プロジェクトの総括として意図されたものである。さらにラーキンの'Explosion'(「爆発」)という詩を選んでこれを詳細に分析した上で解釈を施したものが「<訳注式>英語詩演習Philip Larkin, 'The Explosion'」 (『英語青年』 (第148巻第7号2002)である。
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