研究概要 |
本研究は、イギリス中世文学における最高の宗教詩で、1377年頃の執筆とされる頭韻の長詩Piers P1owman,B-text(約7300行)を取り上げ、その音韻、形態、語彙、シンタックス、文体の諸相を詳細に分析・記述し、難解であることで知られる言語の全貌を実証的に明らかにすることをめざすものである。併せて、他の2種のテキスト、A-text(約2500行)及びB-text(約7300行)の言語との比較研究も行い、3種のテキストが同一作者のものかどうかという20世紀初頭以来行われてきた論争の当否を言語・文体の観点から再検討しようとするものである。そのために本年度は次のことを行った。 1. Piers Plowman(B-text)を中心とする中世英文学の言語・文体に関する研究文献の調査収集を米国及び日本の双方で行い、約20点の研究書並びに約50件の関係論文を入手した。 2. Piers P1owman(B-text)の言語・文体の分析のためのテキストの精読ならびに資料収集を一部行った。 3. 2.の作業中、従来の解釈の不備を指摘する論文を執筆した。 4. 上記研究計画のレビューを米国の専門家に受けた。 次年度も上記1と2、とりわけ2の言語資料の収集を精力的に行う予定である。
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