研究概要 |
本研究は、日本人英語学習者の「誤り」を、生成文法理論の観点から考察した。中心的に扱ったのは、1.非対格動詞の誤り(^*The World War III will be happened/^*Sometimes comes a good wave)、2.受動文の誤り(^*He was stolen his bag)、3.難易度構文の誤り(^*John is easy to catch cold/^*Foreigners are easy to be misunderstood)、4.空前置詞現象(^*What restaurant did Lucy eat?),5.左枝分かれ条件違犯(^*Whose do you think John tasted's food?)、6.小中学生の節構造と形態構造の発達、である。第二言語獲得者が発達段階で犯す誤りを調べると、母語や目標言語には存在しないが、他の言語に見られる特性が多くあり、第二言語獲得者の中間言語は、普遍文法が許容する範囲内におさまることをみた。つまり、刺激の欠如からの議論が第二言語獲得にもあてはまり、第二言語獲得者は、普遍的な計算システムが利用可能で、第二言語獲得者の不完全さは、機能範疇の獲得に原因があることを主張した。 さらに、本研究は、上記で扱った誤りに対して、肯定証拠、否定証拠がどのように機能するのかに関するデータを収集した。現在までのデータからは、決定的な結論には到っていないが、表層的な要因に基づいた肯定証拠否定証拠は、機能しないことが判明した。また、否定証拠は短期的効果しかないと主張されてきたが、構文によっては長期的効果があることも判明した。 本研究の詳細は、遊佐(出版準備中)『普遍文法と第二言語獲得』(仮題)を参照していただきたい。
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