1.15-16世紀の写本と印刷の時祷書(計3冊)をはじめとする、慶應義塾図書館所蔵の初期印刷本および西洋中世写本の撮影および全ページのデジタル・ファクシミリ(CD-ROM)の制作をおこなった。また、撮影した資料については、過去においていずれも十分な調査がなされていなかったため、詳細な書誌学、書物学的な記述をおこなった。 2.研究対象のひとつである大英図書館所蔵、Additional 37049写本(15世紀後半、イングランド)について、テクストと挿絵の相互関係に関する調査をおこない、その成果を国際学会で発表した。 3.研究期間中に調査しデジタル化した全ての中世写本および初期印刷本の個別ページと関連中世美術資料とについて、ネットワーク公開が可能なかたちで図像データベース化し、その一部をウェブサイトとして公開した。 4.中世後期教会美術、写本のミニアチュール、初期印刷本の挿絵などのモチーフを分析を通じて、同時代の民間信仰の諸相を、中世後期の幻視文学、時祷書写本、16世紀の寓意図像集など、14-16世紀において広く伝播していたテクストを対象として具体的に明らかにした。また、その過程においては、デジタル化しデータベース管理された一次資料を用いた。
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