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2001 年度 実績報告書

出版文化史研究―イギリス18,19世紀の出版流通について―

研究課題

研究課題/領域番号 11610505
研究機関愛知大学

研究代表者

清水 一嘉  愛知大学, 文学部, 教授 (70312105)

キーワード「本の歴史」 / 出版 / 出版流通 / 新聞の流通 / 書籍販売業 / 出版流通ネットワーク
研究概要

今年度も夏休み中オクスフォード大学に約40日間滞在し、その間ボドレアン・ライブラリーを中心に資料を収集閲覧し、必要に応じてブリティッシュ・ライブラリーを利用した。その間、学会にも出席し、海外の「本の歴史」学者の熱気あふれる発表に接することもできた。「本の歴史」研究はいまや各国の若い研究者によって積極的にとり組まれ、新しい学問分野として着実にそのアイデンティティを獲得しつつある。そうしたなかで、私も微力ながら寄与できたらと考えている。
18、19世紀の出版流通を考えるとき、ロンドンから地方へ本がどのように流通したかは重要なカギとなる。その際、忘れてはならないのは新聞の発行者による本の流通である。新聞の流通ネットワークを通して本は地方にいたり、本のみの流通というのは(まれなばあいをのぞいて)存在しなかったのである。地方の新聞発行者、もしくは新聞の販売代理業者が本を店頭で売り、遠く離れた読者にはそのためのニューズマンが徒歩あるいは馬でとどけた。本の流通網が形成は19世紀になり、これまで一体化していた出版者業と書籍販売業が分離独立したときから始まる。18世紀における本の流通は、書籍出版業が未成熟であるのと同じように未成熟だったのである。
そうしたなかで、ロンドンから地方への新聞の運搬はどのようにして行われたのかとか、当時の本の発行形態はふつうの単行本よりむしろ分冊出版という形態によるものが多く、一冊の本が何分冊かに分けて定期的に出版されるこの形態は、安価で買いやすかったが、買った本をどのように製本して読者は保存したのか、などなど興味深い問題がいろいろ出てくる。
18世紀から19世紀にかけての書籍業者たちが本の流通をいかに経済的、効果的に行おうとしていたか、かれらが試行錯誤していた姿をさまざまな角度からとらえるのが私の課題である。今年度はそれらに本格的に取り組むことができてさいわいであった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 清 水 一 嘉: "イギリス出版文化史覚書(1)"愛知大学文学論叢. 125. 83-107 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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