研究概要 |
「大学設置基準の大綱化」により、教養課程と専門課程の区分が取り除かれ、結果として、各大学は独自の教育方針を示す必要に迫られ、大幅なカリキュラム改革に乗り出さざるを得なくなった。英語教育においては、この独自性を打ち出すために、各大学は、専門教育に立脚した英語教育という方向性をとろうとしている。すなわち、ESP(English for Specific Purposes)教育の導入である。そこで、当研究では、全国大学のESP教育の進行状況及びその実態をシラバスにもとづき調査分析した。その結果、導入されているというESP教育は、ほとんど名ばかりの現状であることが明らかになった。その第一の原因はESP教育のスペシャリストの不足である。 この状況を打開すべく、当研究では、スペシャリストでなくても行うことが可能なESP教授法をデザインし実践した。実験手続きは、まず、インターネットを利用した工学英語と法学英語のシラバスのモデルをデザインし授業を行い、授業の進行法・評価法,教材作成法などの観点から授業の有効性を検討した。具体的には、プレイスメントテスト、学力テスト、エゴグラムを用いた心理テストの結果を分析することで、モデル授業に対する学生の反応を分析した。 また、武庫川女子大学、近畿大学でESP教育を行っている教員と協力してデータを収集し分析した結果、グループ学習がESP教育の授業形態として、特に効果があることが判明した。そこで、いかにグループ活動を活性化させるかということも含め、ESPコース・デザインの体系化を試みた。研究成果は、時事英語学会第41回年次大会と日本英語コミュニケーション学会第8回年次大会で発表した。
|