研究概要 |
本研究では、実証的データに基づき、ESP・コースデザイン法の体系化を試みた。当研究の結果、明らかになったことは以下の通りである。 1.コースデザインをする場合は、デザインに影響を及ぼす要因を、ハード面の制約やソフト面の制約を考慮に入れながら特定し、これらの要因を考慮しながらコース内容や教材や教授法が決定される。特にESPの場合、専門分野教育が始まっているか始まっていないかが、最もデザインに影響を及ぼすことが分かった。このため、ESP教育に携わる英語教員は、専門教員との連携が不可欠である。 2.ESPはオーサンティックな素材を利用するのが原則である。そこで、むやみ雑多な教材を提示することにならないように、大まかなフォーマットに従って、教材を提示しなければならない。具体的には、メイン素材の背景提示→メイン素材のインプットの準備となる練習問題→メイン素材の関連情報の提示→メイン素材のテキスト構造などマクロ構造の理解→メイン素材の語彙などの内容理解→メイン素材で得た情報の応用→さらに広域のアクティビティ(課外・補助教材)の流れに従って、教材を提示すると有効である。 3.ESP教室内活動は、学習者の専門知識をいかに引き出し利用するかが授業の成否につながる。この目的のためには、グループワークが最大の効果を生む。そこで、当研究では、実証データに基づき、グループワークに影響を及ぼす要因(positive interdependence,individual accountability,group cohesiveness,intergroup competition,proximity,good leadership)を特定し、学生のグループワークにおける心理分析結果に基づきそれらの要因をどうコントロールすれば有効なグループワークになるかを明らかにした。
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