研究概要 |
語彙拡散理論と生物変化理論の類似性を、脳の進化と言語変化の共合的進化の観点から、1.語義変化、2.統語変化、3.音韻変化を考察した。 1.語義変化はある意味領域において、多数の同義語間の競合と選択の結果起こることを実証した。更に人間の認知能力と記憶力の限界から、学習する語彙数が限られたものであることが原因であることを明らかにした。 2.語順変化は、関係節の生成と、認知の困難をひき起こす中央埋め込み文との関連においておこることを実証した。更に人間の脳の前頭葉前部が司る連続的関係が、語順に顕現し、知覚上、記憶上の制約が、ある種の語順を避けることに対して、起因することを示唆した。 3.進化計量法を用いて、知覚的制約と生成的制約に適合しながら、母音体系がどのように進化したかを明らかにした。更に言語共同体での発音の変異、未解決のOE,MEの低音の音価についても予測可能なことを示した。 1の研究はFolia Linguistica Historica XX (1999)に掲載され、2は11th International Conference on English Historical Linguistics (Spain,2000年9月)で発表予定であり、3はWorkshop on Evolutionary Computation and Cognitive Science (Australia, 2000年1月)で発表した。
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