研究概要 |
平成11年度には,日本国内にあるフランス語中世写本の所在調査から始めた。そのため,所在調査アンケートを作成し,日本フランス語フランス文学会所属の会員のうち,主として中世を専門にしている会員に郵送し,調査への協力と情報提供を依頼した。その結果数件の情報が寄せられた。そこで平成11年9月24日に,慶応義塾大学メディアセンターの貴重図書室,平成11年11月12日に,京都外国語大学貴重図書室内において,各図書館所蔵のフランス語中世写本関係資料の調査を行った。いずれの図書館においても,フランス文学関係ではないが,フランス語中世写本が複数見つかっている。 一方,慶応義塾大学文学部教授,高宮利行氏個人所蔵の資料の中からは,フランス中世の『散文トリスタン』の写本がすでに見つかっていた。これを慶応義塾大学のHUMIプロジェクト(Humanities Media Interface Project)の岩井茂昭氏に依頼してデジタル化してもらい,それをプリントアウトしてもらった。さらにそれをもとに高画質のCD Romディスクも作成してもらった。それを解読し,その解読原稿と写本のデジタル写真とをパリ第8大学のPierre-Yves BADEL名誉教授に見てもらい,協力を依頼した。同教授とは平成12年3月に直接お会いして,研究打ち合わせを行った。今後も継続する予定である。なお同写本については,平成11年5月30日に開催された日本フランス語フランス文学会1999年度春季大会の中世部会において,発表を行った。
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