フランス大革命以降、反ユダヤ主義のイデオロギー潮流、シオニズム、さらにはホロコーストの時代を経て現代イスラエル国家に対する態度決定にいたるまで、フランス・ユダヤに関わる諸現実との関わりのなかで論じられるべき重要な作家、思想家(ルナン、ベルナール=ラザール、ペギー、シモーヌ・ヴェイユ、セリーヌ、ジャンケレヴィッチ、レヴィナス、ブランショ、ジョルジュ・ペレック)をフランス・ユダヤ全体の文脈のなかに置き直す作業を通じて、フランス近現代の文学、思想が、「ユダヤ性」(judeite)との深い関わりのなかで形成され、今なお形成されつつあることを示すことが本研究の目的であった。 本年度、最終年度の中心的作業は文献目録の作成と研究成果報告書のとりまとめであった。 1)フランス国立図書館所蔵文献カタログ(CDロム版ならびにインターネット上で公開されているデータベース)を用いて、15世紀から20世紀(1969年)にいたる「フランス国立図書館所蔵ユダヤ関係文献目録」(総ページ数470ほど)が完成した 2)研究代表者、研究分担者の論考に、同一研究組織内の有志(教員、大学院生)の寄稿を加えて、論集「ユダヤ性の発見」(総ページ数270ほど) 以上の作業をつうじて、従来の文学史、思想史のなかで注目されることの少なかったユダヤ系作家、思想家たちに関する基本的コーパスが徐々に整い、それが個々の作家、思想家の研究に生かされつつある。本研究の成果をふまえ、対称となる時代を中世にまで遡らせた新規の研究計画を「基盤研究(S)」として目下申請中である。
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