本研究はフランス18世紀に刊行された『百科全書』について、1)思想システムの解明。2)間テクスト性の解明。3)生成過程の解明。4)影響関係の解明という4つの視座から、新しい地平を切り開こうとするものである。 平成13年度は第3年度目にあたり、すでに検討をあらかた終えている3課題に加え、第4課題である『百科全書』の影響関係について、「知識の連鎖」、「博物誌」、「図版制作」の3つのテーマをめぐって研究を進めた。また、第2課題の『百科全書』博物誌関係項目とビュフォン初版との間テクスト性をテクストと図版の両方について行う作業がまだ完成しておらず、この方面の調査と研究を進めた。 以上の成果は、日本語、フランス語、英語でいくつかのモノグラフィーにまとめ、発表済みである。また、研究構想の全体については、2001年10月12日から11月9日まで計5回にわたって行った「岩波市民セミナー」において発表している。 今後の課題としては、第三課題の『百科全書』図版生成過程に関する分析を深めたい。版画の任意部分を20〜170倍に拡大した画像で、彫版師の手法を克明に確認できる段階へと進む予定である。図版の取り扱いに関しては、Keyence社製デジタル・マイクロ・スコープおよびカラープリンタを使用する。
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