• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2000 年度 実績報告書

20世紀前半のオーストリア小説における伝統と革新

研究課題

研究課題/領域番号 11610527
研究機関東北大学

研究代表者

原 研二  東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60114120)

キーワードオーストリア小説 / 大きな物語 / 父の言説 / 楽園 / 愛 / 歴史と物語 / ムージル / リルケ
研究概要

文献の収集とテキストのデータベース化に関しては、近代オーストリア小説関係の文献をとくにムージル、リルケ、ブロッホを中心として収集し、またムージルの主著『特性のない男』のデータベース化を進めた。
作品分析については、19世紀オーストリア小説における「父」「楽園」というキーワードを手がかりにして、リルケ、ホフマンスタール、ブロッホ、ムージルの作品の比較検討を行なった。ムージルに関しては、シールズフィールド、グリルパルツァー、シュティフター、エーブナー=エッシェンバッハ、アンツェングルーバーら19世紀の作家の作品と比較し、『特性のない男』を中心として、その創作活動の意味を検討し、100枚の論文にまとめた。その内容を要約すれば次のとおりである。ムージルにおいては、19世紀のオーストリアの作品において繰り返し問題とされた「父」の権威が、主人公の父の描写によって顕在化されて取り扱われている。この権威の問題は同時に言説の問題であり、ムージルはこの「父の言説」に対して、「愛の言説」という別な言説を提示した。それは現代における「大きな物語」の喪失と密接にかかわる、歴史意識の問題であり、物語の問題が歴史の問題であることが明らかとなる。オーストリアの歴史の現実において、国家が消滅し、ナチズムに巻き込まれるなかで、ムージルの試みは、別な歴史への試みであると評価できる。このような近代オーストリア小説の全体的な展望の中で、ムージルの作品を検証した研究は、ほかにあまり例のないものであると思われる。なお、この研究成果は、さらに大きな近代オーストリア小説研究としてまとめられる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 原研二: "「偉大なオーストリア小説」(5)-ローベルト・ムージルと物語への試み-"東北大学文学研究科研究年報. 50. 37-70 (2001)

URL: 

公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi